石川県出身。金沢市在住の画家。
独学で美術技法を学ぶ。みずからの内にある狂気と幻想を絵画で表現するすべを見出し、驚くべき輝きを放ち続けている。
始まりは若き頃の東京時代。ある時、粗大ごみとして捨てられていたカンバスを拾い、それに彼がいつも夢想する場面を描いた。そして、生まれて初めての全国公募に出品し、グランプリを受賞。購入もされたことで、「進むべき方向の光を視た!」と語る。
エセム万の作品は、肉体を肉体であることから超越させ、変幻自在で幻想的な「人間の肉を持つ、美しく妖しく、フェティッシュな何か」として結晶化させている。どの作品にも死の匂いがかすかに漂っているが、それは「肉体を超越する」ということが、否応なく死を連想させるゆえでもあるだろう。
「肉体の超越」から「変幻自在な肉体」へと着地する作品の根源には、エセム万の幼少期の体験が深く関わっているようだ。体が弱く、喘息に悩まされることが多かったというエセム万は、よく「口を大きく開けて、自分の体を袋のようにひっくり返し、ゴミが詰まっている箇所をキレイに掃除したい」と想像していたという。またそのとき、裏返しにひっくり返った桃色の筒型人体についても「憧れともいえる想い」を馳せていた。
長じるにつれ、肉体についてのその想像力は新たな創造の翼を生み、羽ばたいた。畸形やトランスフォーメーション、さまざまな動植物やモノとの融合――その想像、夢想の種類はさらに多彩になっていった。
「明確な変化が面白いから?」と勃起などセクシャリティや性器そのものをモチーフにした作品も手がけるが、「肉体の超越」の一種として捉えているためか、その作品からは過剰なエロティシズムは漂ってこない。作品に共通していえることではあるが、それらは変幻した肉体が持つ異質の美から滲み出る、神秘性や聖性を感じることが多い。
エセム万の作品は、よく「仏像画のよう」と評されることもある。肉体を超越することは、肉体にまつわる要素である性別も種さえ超越することにつながり、あらゆるものを受け入れ内包する仏のようにも映るからかもしれない。
アマルコルド【エセム万展】
11月25日(金)〜12月15日(木)
アーティスト在廊予定
11/25(金)26(土)
展示開始の11/25(金)は弊店所属グラデスカ蘭女王様のバースデーでもあり、22時からは蘭女王様によるSMショーもご覧いただけます。その他エセム万作品にインスパイアされたミニ緊縛体験コーナーも(ゲリラ開催なので時間指定はありません)
ギャラリー展示鑑賞でご来店のお客様へ。ご飲食料はチャージ料金(フリードリンク飲み放題、一部追加料金がかかるドリンクあり)ですが、スタッフによる接客もご希望の場合、サービス料として10%追加となります。ご来店時にお伺いしますので、展示鑑賞希望(接客なし)とお伝え下さい。
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