8月になりました。今月の展示は1〜27日まで、「有末剛×夢覚写真展 緋縄地獄 〜Hetu-phala〜」です。
愛欲におぼれて八つの地獄に彷徨うおんなの姿を緊縛の世界を通して表現しています。
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アーティスト在廊予定
夢覚様 25日(日)26日(月)
緊縛師、有末剛様 26日(月)
※アーティストと話せる機会がありますので、お見逃しなくご来店下さいませ。
有末緋縄地獄
子供の頃から、悪いことをすると地獄に落ちると聞かされて育ちました。
特に浄土真宗の盛んな土地に育った私にとって地獄はごく身近なものでした。
人間は悪いことをしたら必ずその報いがある。仏教の因果応報の教えです。
鬼に追い立てられて針山を登らせられたり、火焙りにされたり、舌を抜かれたりする絵は子供の魂の根幹に刺さります。
地獄なのに何か興奮する。それはきっと見世物小屋で蛇を食いちぎる女を見たときの印象に近いかもしれません。
そんなとき、たまたま富山の水墨画美術館で中島潔の作品を拝見する機会がありました。
中島潔は可愛い子供を描く作家として有名です。そして、可愛い子供の絵に混ざって一点だけ地獄絵図が展示されてました。
可愛いだけではない心に残る地獄絵図。
天使のような子供の絵にまざって表現された地獄絵図は、きっとそこに作家が訴えたかったものあったに違いありません。これを見た子供は大人になってもその心象風景が心に残るだろうと思いました。 綺麗なものに混ざって、まがまがしいものが心に残る。
人間は怖いもの見たさの面があります。
そして、今日の日本において、このまがまがしさを排除していこうという傾向があちこちで見られます。 水清ければ魚住まずということわざがあるように、人間は清濁両面がないと生きてはいけません。
光が当たる部分もあれば闇の部分もある。
エロスとはまさにはその闇の部分の想像力です。地獄という深い闇に惹かれるのは、そこに恐ろしいまでの想像力が働くからに違いありません。
今回の緋縄地獄はそんな想像を具現化した作品です。これからも地獄をテーマに想像の翼を拡げていきたいと思います。
アーティスト情報
80年代初頭に緊縛師としてデビュー、
以後数多くの雑誌や映画で緊縛を担当。「夜の学校」の定期開催の他、国内外で精力的に緊縛ワークショップを開催し、緊縛指導書などの制作も行う。
近年は他分野のメディアやアーティストと積極的にコラボレーションを図り、芸術性の高い独自の緊縛世界を展開。イベントやアート作品のプロデュースやコラボレートなど多方面において活躍。
2015年以降写真家としても活動を始める。
札幌のBAR&Gallery卍店主、僧侶、彫刻家、造形作家。
活動や制作は多岐にわたり、有末剛氏の緊縛卍デッサン会主催、ライブドローイング、ライブ彫刻、彫刻ワークショップ、木製球体関節人形制作、仮面制作なども行う。
有末剛氏、田仲ハル氏、早乙女宏美氏との「くんずほぐれつ卍」公演では人形遣いや読経や緊縛モデルで出演。
1983年北方舞踏派全国ツアー参加。
その後20年の休止。2005年再開。
谷川俊太郎をはじめ、多くの作家や音楽家、美術家と共演多数。
2010年、某ビルを乗っ取るパフォーマンスでマスコミに話題になる。
近年では海外からの共演者の来日が相次ぐ。
ポーランドの美大やロシアの国立大の人文学科の研究対象になるなど、活動は舞踏の範疇を越境。
グラフィックデザイナーでもあり、舞踏家。
2017年「札幌国際舞踏フェスティバル」出演。
夢覚様より制作について
緋縄地獄について
私はあるとき有末剛氏に「夢覚さんは彫刻家でもあり僧侶でもあるんだから地獄を表現してみたらどう?」と言われました。幾月かわからないですが頭の片隅にずっと案を巡らせておりましたら、餓鬼に襲われて肉を引き裂かれている自分自身が夢に現れました。その夢を再現するには私自身が罪を犯している者として代表するほかないと思ったのです。有末氏と、田仲ハル氏(餓鬼役はこの人しかいないとすぐに思いついた)にも夢の話をしましたら、快諾いただき、この作品を制作することとなりました。
地獄とは私たちの毎日にいつでもある。愛憎に常に振り回されている私を除いて地獄は存在するものではない、という私への問いかけが形がお二人の力によって作品になりました。
愛欲におぼれて八つの地獄に彷徨うおんなの姿をご覧ください。
夢覚
緋縄地獄
有末剛(緊縛、写真撮影)
夢覚 (企画、モデル、八大緋縄地獄の創作文)
田仲ハル(モデル、デザイン)
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